ばくまついしんかいこだん 07 ちょうこくしゅぎょうのはなし
幕末維新懐古談 07 彫刻修業のはなし

冒頭文

早速彫らされることになる—— この話はしにくい。が、まず大体を話すとすると、最初は「割り物」というものを稽古(けいこ)する。これはいろいろの紋様を平面の板に彫るので工字紋(こうじもん)、麻の葉、七宝、雷紋(らいもん)のような模様を割り出して彫って行く。これは道具を切らすまでの手続き。それが満足に出来るようになると、今度は大黒(だいこく)の顔です。これがなかなか難儀であって、木の先へ大黒天

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 幕末維新懐古談
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 1995(昭和30)年1月17日