ばくまついしんかいこだん 05 そのころのとこやとゆやのはなし
幕末維新懐古談 05 その頃の床屋と湯屋のはなし

冒頭文

床屋の話が出たついで故、ちょっと話しましょう。当時の髪結床(かみゆいどこ)は、今のように小(こ)ざっぱりしたものではなく、特にこういう源空寺門前といったような場末では、そりゃ、じじむさいものでした。 源空寺門前という一町内には、床屋が一軒、湯屋(ゆや)が一軒、そば屋が一軒というようにチャンと数が制限され、その町内の人がそのお華客(とくい)で、何もかも一町内で事が運んだようなものであります

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 幕末維新懐古談
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 1995(昭和30)年1月17日