ばくまついしんかいこだん 04 わたしのちちのくんかい
幕末維新懐古談 04 私の父の訓誡

冒頭文

さて、いよいよ話が決まりましたその夜、父は私に向い、今日までは親の側(そば)にいて我儘(わがまま)は出来ても、明日からは他人の中に出ては、そんな事は出来ぬ。それから、お師匠様初め目上の人に対し、少しでも無礼のないよう心掛け、何事があっても皆自分が悪いと思え、申し訳や口返しをしてはならぬ。一度師の許(もと)へ行ったら、二度と帰ることは出来ぬ。もし帰れば足の骨をぶち折るからそう思うておれ。

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 幕末維新懐古談
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 1995(昭和30)年1月17日