ばくまついしんかいこだん 03 やすどこの「やすさん」のこと
幕末維新懐古談 03 安床の「安さん」の事

冒頭文

町内に安床(やすどこ)という床屋がありました。 それが私どもの行きつけの家(うち)であるから、私はお湯に這入(はい)って髪を結ってもらおうと、其所(そこ)へ行った。 「おう、光坊(みつぼう)か、お前、つい、この間頭を結(い)ったんじゃないか。浅草の観音様へでも行くのか」 主人の安さんがいいますので、 「イエ、明日(あす)、私は奉公に行くんです」 と答えますと、 「そ

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 幕末維新懐古談
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 1995(昭和30)年1月17日