ばくまついしんかいこだん 01 わたしのふそのはなし
幕末維新懐古談 01 私の父祖のはなし

冒頭文

まず、いろいろの話をする前に、前提として私の父祖のこと、つまり、私の家のことを概略(あらまし)話します。 私の父は中島兼松(なかじまかねまつ)といいました。その三代前は因州侯の藩中で中島重左(じゅうざ)エ門(もん)と名乗った男。悴(せがれ)に同苗(どうみょう)長兵衛(ちょうべえ)というものがあって、これが先代からの遺伝と申すか、大層美事(みごと)な髯(ひげ)をもっておった人物であったから

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 幕末維新懐古談
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 1995(昭和30)年1月17日第1刷