さたけのはらへだいぶつをこしらえたはなし
佐竹の原へ大仏をこしらえたはなし

冒頭文

私の友達に高橋定次郎氏という人がありました。この人は前にも話しました通り、高橋鳳雲の息子さんで、その頃は鉄筆で筒を刻(ほ)って職業としていました。上野広小路の山崎(油屋)の横を湯島の男坂の方へ曲がって中ほど(今は黒門町か)に住んでいました。この人が常に私の宅へ遊びに来ている。それから、もう一人田中増次郎という蒔絵師がありました。これは男坂寄りの方に住んでいる。どことなく顔の容子が狐に似ているとかで

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 日本の名随筆46 仏
  • 作品社
  • 1986(昭和61)年8月25日