第八章 一 母(はは)刀自(とじ)の枕屏風(まくらびょうぶ)に いやしきもたかきもなべて夢の世をうら安くこそ過ぐべかりけれ 花紅葉(はなもみじ)あはれと見つつはるあきを心のどけくたちかさねませ おやのよもわがよも老(おい)をさそへども待たるるものは春にぞありける 新しく造った小屏風がある。娘お粂(くめ)がいる。長男の宗太(そうた)がいる。継母おまんは屏風の