ちくまがわのスケッチ
千曲川のスケッチ

冒頭文

序 敬愛する吉村さん——樹(しげる)さん——私は今、序にかえて君に宛(あ)てた一文をこの書のはじめに記(しる)すにつけても、矢張(やっぱり)呼び慣れたように君の親しい名を呼びたい。私は多年心掛けて君に呈したいと思っていたその山上生活の記念を漸(ようや)く今纏(まと)めることが出来た。 樹さん、君と私との縁故も深く久しい。私は君の生れない前から君の家にまだ少年の身を托(たく)して、君

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 千曲川のスケッチ
  • 新潮文庫、新潮社
  • 1955(昭和30)年4月20日、1970(昭和45)年5月5日25刷改版