きくもようさらやまきだん
菊模様皿山奇談

冒頭文

序 大奸は忠に似て大智は愚なるが如しと宜なり。此書は三遊亭圓朝子が演述に係る人情話を筆記せるものとは雖も、其の原を美作国久米郡南条村に有名なる皿山の故事に起して、松蔭大藏が忠に似たる大奸と遠山權六が愚なるが如き大智とを骨子とし、以て因果応報有為転変、恋と無常の世態を縷述し、読む者をして或は喜び或は怒り或は哀み或は楽ましむるの結構は実に当時の状況を耳聞目撃するが如き感ありて、圓朝子が高座に上り

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 圓朝全集 巻の九
  • 近代文芸・資料複刻叢書、世界文庫
  • 1964(昭和39)年2月10日