はたもとたいくつおとこ 05 だいごわ みかわにあらわれたたいくつおとこ
旗本退屈男 05 第五話 三河に現れた退屈男

冒頭文

一 ——その第五話です。 まことにどうも退屈男は、言いようもなく変な男に違いない。折角京までやって来たことであるから、長崎、薩摩とまでは飛ばなくとも、せめて浪華(なにわ)あたりにその姿を現すだろうと思われたのに、いとも好もしくいとも冴(さ)えやかなわが早乙女主水之介が、この上もなく退屈げなその姿を再び忽焉(こつえん)として現したところは、東海道七ツの関のその三ツ目の岡崎女郎衆で

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 旗本退屈男
  • 春陽文庫、春陽堂書店
  • 1982(昭和57)年7月20日新装第1刷