世おのずから数(すう)というもの有りや。有りといえば有るが如(ごと)く、無しと為(な)せば無きにも似たり。洪水(こうずい)天に滔(はびこ)るも、禹(う)の功これを治め、大旱(たいかん)地を焦(こが)せども、湯(とう)の徳これを済(すく)えば、数有るが如くにして、而(しか)も数無きが如し。秦(しん)の始皇帝、天下を一にして尊号(そんごう)を称す。威燄(いえん)まことに当る可(べ)からず。然(しか)れ