きょうかくのしゅるい
侠客の種類

冒頭文

侠客と一口に言つても徳川時代の初期に起つた侠客と其の以後に出た侠客とは、名は同じ侠客でも余程様子が違つて居るやうである。初期のは市人の中の気慨のある者か或は武士の仕官の途に断念した者などが、武士の跋扈に反抗して之を膺懲し或は之に対抗する考へから起つたのであるらしいが、夫から以後、即ち天明前後から天保あたりへ懸けての侠客といふものは多くは博徒のやうな類である。即ち之を分類すれば、徳川初期のは強い圧迫

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 日本の名随筆 別巻94 江戸
  • 作品社
  • 1998(平成10)年12月25日