うんめいはきりひらくもの
運命は切り開くもの

冒頭文

此処に赤(ン)坊が生れたと仮定します。其の赤(ン)坊が華族の家の何不足無いところに生れたとします。然(さ)する時は此の赤然(ン)坊は自然に比較的幸福であります。又食ふや食はずの貧乏の家で、父たる者は何処かへ漂浪して終(しま)つて居るやうな場合の時、たゞ一人の淋しい生活をして居る婦人から生れたと致します。然る時はこの赤終(ン)坊は自然に比較的不幸福であります。善事をした訳でも悪事をしたわけでも無くて

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 日本の名随筆96 運
  • 作品社
  • 1990(平成2)年10月25日