こうちょうのなげき |
黄鳥の嘆き |
冒頭文
一 秘密の上にも秘密にやった事だったが、新聞記者にかゝっちゃ敵(かな)わない、すぐ嗅ぎつけられて終(しま)った。 子爵(ししゃく)二川重明(ふたがわしげあき)が、乗鞍岳(のりくらたけ)の飛騨側の頂上近い数百町歩の土地を買占めただけなら兎(と)に角(かく)、そこの大雪渓(だいせっけい)を人夫数十人を使って掘り始めたというのだからニュース・ヴァリュ百パーセントである。 二川家
文字遣い
新字新仮名
初出
底本
- 日本探偵小説全集1 黒岩涙香 小酒井不木 甲賀三郎集
- 創元推理文庫、東京創元社
- 1984(昭和59)年12月21日