せいねんとし |
| 青年と死 |
冒頭文
× すべて背景を用いない。宦官(かんがん)が二人話しながら出て来る。 ——今月も生み月になっている妃(きさき)が六人いるのですからね。身重(みおも)になっているのを勘定したら何十人いるかわかりませんよ。 ——それは皆、相手がわからないのですか。 ——一人もわからないのです。一体妃たちは私たちよりほかに男の足ぶみの出来ない後宮(こうきゅう)にいるのですからそんな事の出来る訣(わけ)はないので
文字遣い
新字新仮名
初出
「新思潮」1914(大正3)年9月
底本
- 芥川龍之介全集1
- ちくま文庫、筑摩書房
- 1986(昭和61)年9月24日