むざん
無惨

冒頭文

無惨序 日本探偵小説の嚆矢(こうし)とは此無惨を云うなり無惨とは面白し如何なること柄(がら)を書しものを無惨と云うか是れは此れ当時都新聞の主筆者涙香小史君が得意の怪筆を染め去年築地河岸海軍原に於て人殺(ひとごろし)のありしことを作り設け之れに探偵の事項を附会して著作せし小説なり予(よ)本書を読むに始めに探偵談を設けて夫(それ)より犯罪の事柄に移りお紺と云う一婦人を捜索して証拠人に宛て之れが口

文字遣い

新字新仮名

初出

「小説叢」1889(明治22)年9月

底本

  • 日本探偵小説全集1 黒岩涙香 小酒井不木 甲賀三郎集
  • 創元推理文庫、創元社
  • 1984(昭和59)年12月21日