きたはらはくしゅうしのしょうぞう |
| 北原白秋氏の肖像 |
冒頭文
……願ふは極秘、かの奇(く)しき紅の夢……(「邪宗門」)性慾の如くまつ青な太陽が金色(こんじき)の髪を散(ちら)して、異教の寺の晩鐘の呻吟(うなり)のやうに高らかに、然(しか)しさびしく、河の底へ……底へ……底へ……と沈む時に、幻想の黒い帆前(ほまへ)は滑つて行く……音もなく……明るい灰色の硝子(がらす)の外で、氏は倚(よ)れる窗(まど)の後(うしろ)で——。されば其(その)光の顫音(トレモロ)は
文字遣い
新字旧仮名
初出
底本
- 書物の王国13 芸術家
- 国書刊行会
- 1998(平成10)年10月25日