びじゅつじょうのふじん
美術上の婦人

冒頭文

婦人は美くしいものである。 だから婦人は画家にとつて何時の時代でもよき画材とされてゐる。古来からの名画の中には婦人を描いたものは甚だ多い、もし古今東西の美術の中から「婦人」を除いたら実に寂寥たるものであらう。実に「女ならでは夜の明けぬ」は只にこの世のみの事ではない。美術の王国は美のみの国だけに一層に婦人を尊しとするのである。 一体、美術、殊に絵画の極は何と云つても人物画につきる

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 日本の名随筆23 画
  • 作品社
  • 1984(昭和59)年9月25日