しがなおやしのさくひん
志賀直哉氏の作品

冒頭文

自分は現代の作家の中で、一番志賀氏を尊敬している。尊敬しているばかりでなく、氏の作品が、一番好きである。自分の信念の通りに言えば、志賀氏は現在の日本の文壇では、最も傑出した作家の一人だと思っている。 自分は、「白樺」の創刊時代から志賀氏の作品を愛していた。それから六、七年になる。その間に自分はかつて愛読していた他の多くの作家(日本と外国とを合せて)に、幻滅を感じたり愛想を尽かしたりした。

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 半自叙伝
  • 講談社学術文庫、講談社
  • 1987(昭和62)年7月10日