しじょうなわてのたたかい
四条畷の戦

冒頭文

建武中興の崩壊 中島商相が、足利尊氏のために、災禍を獲た。尊氏の如く朝敵となったものは、古来外にも沢山ある。朝敵とならないまでも、徳川家康以下の将軍などは、それに近いものである。殊に温厚そうに見える二代将軍秀忠の如き、朝廷に対して、悪逆を極めている。 だが、尊氏丈(だけ)が、どうして百世の下、なお憎まれ者になっているか。それは、純忠無比な楠公父子を向うに廻したからである。尤も、中島

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 日本合戦譚
  • 文春文庫、文芸春秋
  • 1987(昭和62)年2月10日