しまばらのらん
島原の乱

冒頭文

切支丹宗徒蜂起之事 肥後の国宇土の半島は、その南方天草の諸島と共に、内海八代湾を形造って居る。この宇土半島の西端と天草上島(かみじま)の北端との間に、大矢野島、千束(せんぞく)島などの島が有って、不知火(しらぬい)有明の海を隔てて、西島原半島に相対して居るのである。 天正十五年、豊臣秀吉が薩摩の島津義久を征した時、九州全土に勢威盛んであった島津も、東西の両道を南下する豊臣勢には敵す

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 日本合戦譚
  • 文春文庫、文芸春秋
  • 1987(昭和62)年2月10日