かわなかじまのかっせん
川中島合戦

冒頭文

川中島に於ける上杉謙信、武田信玄の一騎討は、誰もよく知って居るところであるが、其合戦の模様については、知る人は甚(はなは)だ少い。琵琶歌等(など)でも「天文二十三年秋の半ばの頃とかや」と歌ってあるが、之は間違いである。 甲越二将が、手切れとなったのは、天文二十二年で、爾来二十六年間の交戦状態に於て、川中島に於ける交戦は数回あったが、其の主(おも)なるものは、弘治元年七月十九日犀川(さいが

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 日本合戦譚
  • 文春文庫、文芸春秋
  • 1987(昭和62)年2月10日