じんがいまきょう 08 セル・ミク・シュア
人外魔境 08 遊魂境

冒頭文

死体、橇を駆る⁈ いよいよ本篇から、魔境記も大ものばかりになってくる。まず、その手初めが“Ser-mik-suah(セル・ミク・シュア)”グリーンランド中部高原の北緯七十五度あたり、氷河と峻険と猛風雪と酷寒、広茫(こうぼう)数百の氷河を擁する未踏地中のそのまた奥。そこに、字義どおりの冥路(よみじ)の国ありという、“Ser-mik-suah(セル・ミク・シュア)”は極光下の神秘だ。では一体

文字遣い

新字新仮名

初出

「新青年」1940(昭和15)年6月号

底本

  • 人外魔境
  • 角川ホラー文庫、角川書店
  • 1995(平成7)年1月10日