しょうひんとしてのきんだいしょうせつ
商品としての近代小説

冒頭文

一 文学作品の大衆性の問題は、ルナチヤルスキイ等がいふやうに、文学作品の形式の問題に止まるであらうか? 更に進んでは、これは文学そのものに内在する問題であらうか? そして或る作品が大衆性を有するといふこと自体が、その作品の何か非常に望ましき芸術的なメリツト若しくは価値であるだらうか? 私は最近まで、この疑問に対して「然り」と答へるのを常としてゐた。それどころか、秀れた文学作品は必らず大衆性

文字遣い

新字旧仮名

初出

「思想」1929(昭和4)年5月

底本

  • 平林初之輔文藝評論全集 上巻
  • 文泉堂書店
  • 1975(昭和50)年5月1日