せいアレキセイじいんのさんげき
聖アレキセイ寺院の惨劇

冒頭文

序(はしがき) 聖アレキセイ寺院——。世俗に聖堂と呼ばれている、このニコライ堂そっくりな天主教の大伽藍が、雑木林に囲まれた東京の西郊Iの丘地に、R大学の時計塔と高さを競って聳(そそ)り立っているのを……。そして、暁(あけ)の七時と夕(ゆうべ)の四時に嚠喨(りゅうりょう)と響き渡る、あの音楽的な鐘声(かねのね)も、たぶん読者諸君は聴かれたことに思う。 ところで、物語を始めるに先立って

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 新青年傑作選(1)推理小説編
  • 立風書房
  • 1974(昭和49)年12月30日新装第1刷