こくしかんさつじんじけん
黒死館殺人事件

冒頭文

序篇 降矢木一族釈義 聖(セント)アレキセイ寺院の殺人事件に法水(のりみず)が解決を公表しなかったので、そろそろ迷宮入りの噂(うわさ)が立ちはじめた十日目のこと、その日から捜査関係の主脳部は、ラザレフ殺害者の追求を放棄しなければならなくなった。と云うのは、四百年の昔から纏綿(てんめん)としていて、臼杵耶蘇会神学林(うすきジェスイットセミナリオ)以来の神聖家族と云われる降矢木(

文字遣い

新字新仮名

初出

「新青年」博文館、1934(昭和9)年4月号~12月号

底本

  • 小栗虫太郎傑作選1 黒死館殺人事件
  • 現代教養文庫、社会思想社
  • 1977(昭和52)年4月25日