ちょうこくかのみたるびじん
彫刻家の見たる美人

冒頭文

美人彫刻家として有名なのはまづ佛蘭西の、ゼロームを推さねばなるまいが、其彫刻は矢張り端麗とか、優美とかに重きを置いたクラシカルのもので、美人を其まゝ美人として現はしたものは希臘の昔に溯らねばならぬ。希臘には雄壯なることアポロのやうなものもあるが、又ミローや、メディスのヴィナス、デアナの如(や)うな美しい女神もある。 さて斯かる美人を彫刻せんには、藝術家は何ういふ態度に出づべきものであらう

文字遣い

旧字旧仮名

初出

底本

  • 日本の名随筆40 顏
  • 作品社
  • 1986(昭和61)年2月25日