せいあどうきだん
青蛙堂鬼談

冒頭文

青蛙神(せいあじん) 一 「速達!」 三月三日の午(ひる)ごろに、一通の速達郵便がわたしの家の玄関に投げ込まれた。 拝啓。春雪霏々(ひひ)、このゆうべに一会なかるべけんやと存じ候。万障を排して、本日午後五時頃より御参会くだされ度(たく)、ほかにも五、六名の同席者あるべくと存じ候。但し例の俳句会には無之(これなく)候。 まずは右御案内まで、早々、不一(ふいつ)。

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 影を踏まれた女 岡本綺堂怪談集
  • 光文社時代小説文庫、光文社
  • 1988(昭和63)年10月20日