ほし

冒頭文

晴れた秋の夜は星の瞬きが、いつもより、ずつとヴイヴイツトである。殊に月の無い夜は星の光が一層燦然として美しい。それ等の星々をぢつと凝視してゐると、光の強い大きな星は段々とこちらに向つて動いて来るやうな気がして怖いやうだ。事実太洋を航海してゐるとき闇夜の海上の彼方から一点の光がこちらに向つて近づいて来る。何であらうと一心にそれを見守つてゐると、突然その光の下に黒々とした山のやうな巨船の姿を見出してび

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 日本の名随筆 別巻16 星座
  • 作品社
  • 1992(平成4)年6月25日