ししゃのしょ ぞくへん(そうこう)
死者の書 続編(草稿)

冒頭文

山々の櫻の散り盡した後に、大塔中堂の造立供養は行はれたのであつた。 それでも、春の旅と言へば、まづ櫻を思ふ習(ナラ)はしから、大臣は薄い望みを懸けてゐた。若し、高野や、吉野の奧の花見(マヽ)られることのありさうな、靜かな心踊りを感じて居たのであつた。 廿七日——。山に著いて、まづ問うたのも、花のうへであつた。ことしはとり別け、早く過ぎて、もう十日前に、開山大師の御廟(ミメウ)から先にも、咲き殘

文字遣い

旧字旧仮名

初出

底本

  • 折口信夫全集 第廿四巻
  • 中央公論社
  • 1955(昭和30)年6月5日、1967(昭和42)年10月25日新訂版