ちきゅうとうなん
地球盗難

冒頭文

ネス湖の怪物 「ほんとうかなア、——」 と、河村武夫(かわむらたけお)はつい口に出してしまった。 「えッ、ほんとうて、何のことなの」 武夫と一緒に歩いていたお美代(みよ)は、怪訝(けげん)な顔をして武夫の方にすり寄った。 「イヤ何でもないことだよ。……只ネス湖の怪物がネ」 「ネス湖の怪物? 怪物て、どんなもの。お化けのことじゃない」 武夫はもう中学の三年、お美

文字遣い

新字新仮名

初出

「ラヂオ科学」1936(昭和11)年

底本

  • 海野十三全集 第3巻 深夜の市長
  • 三一書房
  • 1988(昭和63)年6月30日