ちちゅうま
地中魔

冒頭文

少年探偵三浦三吉 永く降りつづいた雨がやっとやんで、半月ぶりにカラリと空が晴れわたった。晴れると同時に、陽の光はジリジリと暑さをもって来た。 ここは東京丸(まる)の内(うち)にある有名な私立探偵帆村荘六(ほむらそうろく)氏の探偵事務所だ。 少年探偵の三浦三吉(みうらさんきち)は、今しも外出先から汗まみれになって帰って来たところだ。いきなり上衣(うわぎ)とシャツとを脱ぎすてると

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 海野十三全集 第2巻 俘囚
  • 三一書房
  • 1991(平成3)年2月28日