せきがいせんおとこ
赤外線男

冒頭文

1 この奇怪(きかい)極(きわ)まる探偵事件に、主人公を勤める「赤外線男(せきがいせんおとこ)」なるものは、一体全体何者であるか? それはまたどうした風変りの人間なのであるか? 恐らくこの世に於(おい)て、いまだ曾(かつ)て認識されたことのなかった「赤外線男」という不思議な存在——それを説明する前に筆者は是非(ぜひ)とも、ついこのあいだ東都(とうと)に起って、もう既に市民の記憶から消えようとして

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 海野十三全集 第2巻 俘囚
  • 三一書房
  • 1991(平成3)年2月28日