しょうせんでんしゃのしゃげきしゅ
省線電車の射撃手

冒頭文

1 帝都二百万の市民の心臓を、一瞬にして掴(つか)んでしまったという評判のある、この「射撃手(しゃげきしゅ)」事件が、突如(とつじょ)として新聞の三面記事の王座にのぼった其の日のこと、東京××新聞の若手記者風間八十児(かざまやそじ)君が、此の事件に関係ありと唯今目をつけている五人の人物を歴訪(れきほう)して巧(たく)みに取ってきたメッセージを、その懐中手帳から鳥渡(ちょっと)失敬して並べ

文字遣い

新字新仮名

初出

「新青年」博文館、1931(昭和6)年10月号

底本

  • 海野十三全集 第1巻 遺言状放送
  • 三一書房
  • 1990(平成2)年10月15日