さんじゅうねんごのとうきょう
三十年後の東京

冒頭文

万年雪(まんねんゆき)とける 昭和五十二年の夏は、たいへん暑(あつ)かった。 ことに七月二十四日から一週間の暑さときたら、まったく話にならないほどの暑さだった。 涼(すず)しいはずの信州(しんしゅう)や上越(じょうえつ)の山国(やまぐに)地方においてさえ、夜は雨戸をあけていないと、ねむられないほどの暑くるしさだった。東京なんかでは、とても暑くて地上に出ていられなくて、都民

文字遣い

新字新仮名

初出

「少年読売」1947(昭和22)年10~12月

底本

  • 海野十三全集 第13巻 少年探偵長
  • 三一書房
  • 1992(平成4)年2月29日