一 機會(きくわい)がおのづから來(き)ました。 今度(こんど)の旅(たび)は、一體(いつたい)はじめは、仲仙道線(なかせんだうせん)で故郷(こきやう)へ着(つ)いて、其處(そこ)で、一事(あるよう)を濟(すま)したあとを、姫路行(ひめぢゆき)の汽車(きしや)で東京(とうきやう)へ歸(かへ)らうとしたのでありました。——此(この)列車(れつしや)は、米原(まいばら)で一體分身(いつ