せつれいきじ
雪霊記事

冒頭文

一 「此(こ)のくらゐな事(こと)が……何(なん)の……小兒(こども)のうち歌留多(かるた)を取(と)りに行(い)つたと思(おも)へば——」 越前(ゑちぜん)の府(ふ)、武生(たけふ)の、侘(わび)しい旅宿(やど)の、雪(ゆき)に埋(うも)れた軒(のき)を離(はな)れて、二町(ちやう)ばかりも進(すゝ)んだ時(とき)、吹雪(ふゞき)に行惱(ゆきなや)みながら、私(わたし)は——然(さ)う思

文字遣い

旧字旧仮名

初出

底本

  • 鏡花全集 卷二十一
  • 岩波書店
  • 1941(昭和16)年9月30日