おうじょうえまき
往生絵巻

冒頭文

童(わらべ) やあ、あそこへ妙な法師(ほふし)が来た。みんな見ろ。みんな見ろ。 鮓売(すしうり)の女 ほんたうに妙な法師ぢやないか? あんなに金鼓(ごんぐ)をたたきながら、何だか大声に喚(わめ)いてゐる。…… 薪売(まきうり)の翁(おきな) わしは耳が遠いせゐか、何を喚くのやら、さつぱりわからぬ。もしもし、あれは何と云うて居りますな? 箔打(はくうち)の男 あれは「阿弥陀仏(あみだぶつ)よや

文字遣い

新字旧仮名

初出

「国粋」1921(大正10)年4月

底本

  • 現代日本文學大系 43 芥川龍之介集
  • 筑摩書房
  • 1968(昭和43)年8月25日