聞く所によれば野蛮人は赤色(せきしょく)を愛すると云うが、我輩(わがはい)文明人にしても尚(なお)野蛮の域に居る所の子供は赤色を好み、段々と大きくなるに従って、色の浅いものを好むようになる、而して純白色のものを以て最も高尚なものとするのは、我輩文明人の常である、左(さ)れば染色上の嗜好より人の文野を別てば、白色若(も)しくは水色等を愛する者は最も文化したるもので、青色(せいしょく)だの紅色(こうし