うんめいとひと
運命と人

冒頭文

○ 運命は現象を支配する、丁度物体が影を支配するやうに。現象によつて暗示される運命の目論見は「死」だ。何となればあらゆる現象の窮極する所は死滅だからである。 我等の世界に於て物と物とは安定を得てゐない。而して安定を得るための道程にあつて物と物とは相剋してゐる。我等がヱネルギーと称するものはその結果として生じて来る。而してヱネルギーが働いてゐる間我等の間には生命が厳存する。然しながら

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 日本の名随筆96 運
  • 作品社
  • 1990(平成2)年10月25日