びじゅつきょくげいしんこざいく
美術曲芸しん粉細工

冒頭文

しん粉細工に就いては、今更説明の必要もあるまい。たゞ、しん粉をねつて、それに着色をほどこし、花だの鳥だのゝ形を造るといふまでゞある。 が、時には奇術師が、これを奇術に応用する場合がある。しかしその眼目とするところは、やはり、如何に手早く三味線に合せてしん粉でものゝ形を造り上げるかといふ点にある。だから、正しい意味では、しん粉細工応用の奇術ではなくて、奇術応用のしん粉細工といふべきであらう

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 日本の名随筆 別巻7 奇術
  • 作品社
  • 1991(平成3)年9月20日