しゅうふをかす
醜婦を呵す

冒頭文

村夫子(そんぷうし)は謂(い)ふ、美の女性に貴ぶべきは、其面(そのめん)の美なるにはあらずして、単に其意(そのこゝろ)の美なるにありと。何(なん)ぞあやまれるの甚(はなはだ)しき。夫子(ふうし)が強(あなが)ちに爾(しか)き道義的誤謬(ごびう)の見解を下したるは、大早計にも婦人を以て直ちに内政に参し家計を調ずる細君と臆断(おくだん)したるに因るなり。婦人と細君と同じからむや、蓋(けだ)し其間(あひ

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 現代日本文學大系 5 樋口一葉・明治女流文學・泉鏡花集
  • 筑摩書房
  • 1972(昭和47)年5月15日