はんしちとりものちょう 39 しょうねんしょうじょのし |
半七捕物帳 39 少年少女の死 |
冒頭文
一 「きのうは家(うち)のまえで大騒ぎがありましたよ」と、半七老人は云った。 「どうしたんです。何があったんです」 「なにね、五つばかりの子供が自転車に轢(ひ)かれたんですよ。この横町の煙草屋の娘で、可愛らしい子でしたっけが、どこかの会社の若い人の乗っている自転車に突きあたって……。いえ、死にゃあしませんでしたけれど、顔へ疵(きず)をこしらえて……。女の子ですから、あれがひどい引っ吊りになら
文字遣い
新字新仮名
初出
底本
- 時代推理小説 半七捕物帳(三)
- 光文社時代小説文庫、光文社
- 1986(昭和61)年5月20日