さっかのてちょう
作家の手帖

冒頭文

ことしの七夕(たなばた)は、例年になく心にしみた。七夕は女の子のお祭である。女の子が、織機のわざをはじめ、お針など、すべて手芸に巧みになるように織女星(しょくじょせい)にお祈りをする宵(よい)である。支那に於いては棹(さお)の端に五色の糸をかけてお祭りをするのだそうであるが、日本では、藪(やぶ)から切って来たばかりの青い葉のついた竹に五色の紙を吊(つ)り下げて、それを門口に立てるのである。竹の小枝

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 太宰治全集6
  • ちくま文庫、筑摩書房
  • 1989(平成元)年2月28日