にだい
尼提

冒頭文

舎衛城(しゃえいじょう)は人口の多い都である。が、城の面積は人口の多い割に広くはない。従ってまた厠溷(しこん)も多くはない。城中の人々はそのためにたいていはわざわざ城外へ出、大小便をすることに定(き)めている。ただ波羅門(ばらもん)や刹帝利(せっていり)だけは便器の中に用を足し、特に足を労することをしない。しかしこの便器の中の糞尿(ふんにょう)もどうにか始末(しまつ)をつけなければならぬ。その始末

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 芥川龍之介全集6
  • ちくま文庫、筑摩書房
  • 1987(昭和62)年3月24日