はんしちとりものちょう 38 にんぎょうつかい
半七捕物帳 38 人形使い

冒頭文

一 「年代はたしかに覚えていませんが、あやつり芝居が猿若町(さるわかまち)から神田の筋違外(すじかいそと)の加賀ツ原へ引き移る少し前だと思っていますから、なんでも安政の末年でしたろう」と、半七老人は云った。「座元は結城(ゆうき)だか薩摩(さつま)だか忘れてしまいましたが、湯島天神の境内(けいだい)で、あやつり人形芝居を興行したことがありました。なに、その座元には別に関係のないことなんですが、その

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 時代推理小説 半七捕物帳(三)
  • 光文社時代小説文庫、光文社
  • 1986(昭和61)年5月20日