ねぎ

冒頭文

おれは締切日を明日(みょうにち)に控えた今夜、一気呵成(かせい)にこの小説を書こうと思う。いや、書こうと思うのではない。書かなければならなくなってしまったのである。では何を書くかと云うと、——それは次の本文を読んで頂くよりほかに仕方はない。       ————————————————————————— 神田(かんだ)神保町辺(じんぼうちょうへん)のあるカッフェに、お君(きみ)さんと云

文字遣い

新字新仮名

初出

「新小説」1920(大正9)年1月

底本

  • 芥川龍之介全集3
  • ちくま文庫、筑摩書房
  • 1986(昭和61)年12月1日