あいいろのひき
藍色の蟇

冒頭文

藍色の蟇 森の宝庫の寝間(ねま)に 藍色の蟇は黄色い息をはいて 陰湿の暗い暖炉のなかにひとつの絵模様をかく。 太陽の隠し子のやうにひよわの少年は 美しい葡萄のやうな眼をもつて、 行くよ、行くよ、いさましげに、 空想の猟人(かりうど)はやはらかいカンガルウの編靴(あみぐつ)に。  陶器の鴉 陶器製のあをい鴉(からす)、 なめらかな母韻をつつんでおそひくるあをがらす、 うまれたま

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 世界の詩28 大手拓次詩集
  • 彌生書房
  • 1965(昭和40)年10月25日