はんしちとりものちょう 21 ちょうがっせん
半七捕物帳 21 蝶合戦

冒頭文

一 江戸っ子は他国の土を踏まないのを一種の誇りとしているので、大体に旅嫌いであるが、半七老人もやはりその一人で、若い時からよんどころない場合のほかには、めったに旅をしたことが無いそうである。それがめずらしく旅行したということで、わたしが訪ねたときは留守であった。老婢(ばあや)の話によると、宇都宮の在(ざい)にいる老人の甥の娘とかが今度むこを取るについて、わざわざ呼ばれて行ったということであっ

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 時代推理小説 半七捕物帳(二)
  • 光文社時代小説文庫、光文社
  • 1986(昭和61)年3月20日