はんしちとりものちょう 54 とうじんあめ
半七捕物帳 54 唐人飴

冒頭文

一 こんにちでも全く跡を絶ったというのではないが、東京市中に飴売りのすがたを見ることが少なくなった。明治時代までは鉦(かね)をたたいて売りに来る飴売りがすこぶる多く、そこらの辻に屋台の荷をおろして、子どもを相手にいろいろの飴細工を売る。この飴細工と糝粉(しんこ)細工とが江戸時代の形見といったような大道(だいどう)商人(あきんど)であったが、キャラメルやドロップをしゃぶる現代の子ども達からだん

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 時代推理小説 半七捕物帳(五)
  • 光文社時代小説文庫、光文社
  • 1986(昭和61)年10月20日